サブプライムローン問題は、アメリカ人のこの異常な消費ブームを終わらせるだろう。
深刻な経済不況にアメリカが陥ることは明白である。 アメリカは年間二・二兆ドルもの財・サービスを外国から輸入している。
これほどの大きい輸入をしている国は、ドル暴落が起きれば、インフレーションの猛威に必ず打ちのめされるだろう。 しかも、中国の人民元の大幅引き上げを要求するアメリカの政治は、アメリカの金融商品を買ってくれている中国を追い払うことになり、これがさらにドルの大暴落を誘発するであろう。

T氏は言う。 かつては、ドル安誘導がアメリカの対外債務の軽減をもたらす効果をもっていた。
うまくやれば、機軸通貨としてのドルの地位を維持したまま世界に損をさせて、アメリカのみが得をするという、一九八五年のプラザ合意のような強引なこともこれまでのアメリカはできた。 しかし、二○○七年九月一八日のFRBの利下げ後、世界的なインフレが進行するようになってしまった。
原油価格は史上最高値をつけ、金価格も二八年ぶりの高騰である。 これはドル建て相場の資源が、ドル価値の低下の反動でドル建て価格で上昇したからである。
そして、このことは、ドルの機軸通貨としての地位とアメリカの経済的覇権の喪失を促すであろう。 ドル体制は終わりつつある。
これまでも、ドルの大暴落はいつも囁かれていた。 しかし、そうした囁きはその度に誤った予測だとしてアメリカ崇拝者によって揶揄されてきた。
しかし、そうした揶揄が根拠をもっていたのは、アメリカ国内に投資したい外国人が非常に多数いたことにある。 サブプライムローン騒動はこの最後の切り札を廃棄させてしまったのである。
ドル暴落は目前に迫っている。 こうして、世界の通貨体制は急速に多極化するであろうが、かつてとは基本的に異なる環境が生まれている。
一九九○年代半ばまでは、多極的通貨体制というとき、人々の脳裏にあったのは、ユーロであり、円であった。 しかし、いまでは円はかつての面影もなく没落してしまっている。

ユーロはますます強くなっているが、今後現れてくるのは、ドルに替わるユーロという構図ではない。

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